2012年4月23日月曜日

現状のデフレに対する認識と財政再建論者の妄言

現状の客観的な認識

不況で所得が減れば、税収は減り、財政赤字は拡大する。
これは小中学生でも理解できる客観的な事実である。
そして、
現在の日本が置かれた状況も上記のようなものであるという点も、
誰も疑うことのない事実である。

そのような状況の中で、財政健全化という掛け声のもと、
緊縮財政を行えば、所得が減って税収がさらに増えるおそれ
を指摘するのは通常の感覚を持った常識人である。

長期の目標と短期の目標

分別のある人間は、何事を計画するときにも、
目標を細かく分けてマネジメントする。
目標を短期的なものと長期的なものに適切に分類するのは、
しつこいようだが、常識的な人の行うマネジメントである。
この長期と短期を取り違えると、最終目標の達成は極めて難しくなる。

さて、我が国は、財政健全化を果たす必要がある。
では、この目標は、上記の長期と短期のいずれに分類されるべきだろうか?

大手マスコミは、財政健全化は待ったなしの状況であると声高に叫ぶ。
財政健全化は短期の目標と捉えているらしい。

しかし、
デフレの現状で我が国が緊縮財政に走れば、
間違いなくデフレは進行する。すなわち、10年以上続いた不況はさらに深刻化し
国家財政はさらなる悪化という循環に陥ることになる。

1997年に橋本政権が消費税率を3%から5%に引き上げた際に、
結局は税収増加をもたらすどころか、
一層の景気悪化と財政悪化しか起こらなかった。
これは歴史が示す厳然たる事実である。

消費税増税に政治生命を賭けると息巻く野田は、
現在の深刻なデフレ状況を脱出する方途を何も示していない。
消費税率を上げるための方便として、後出し的に策を講じようとアピールだけは熱心だが。

これで、1997年とは違う結末が訪れると想定する者は、
一般の世間では、オメデタイ奴だと後ろ指をさされるが、
マスコミの世界では、どうもそうでもないらしい。

現時点で要求される施策とは?

当面において必要とされる施策は、
財政を長期的なスパンで維持する可能性を十分に確保しつつ、
短期的には眼下の景気動向に十分に配慮して、
財政と金融の政策運営を柔軟に実施することである。

国家財政を長期スパンで眺めるとき、
インフレは、債務を実質的に縮小させるという意味で、
財政状況の改善に役立つ面があるという事実を知る必要がある。

さらに、デフレはインフレよりも人々の生活を苦しめるという事実を
より多くの人に周知する必要がある。デフレが極度の円高の一因であり、
労働者の賃金低下の主因であり、需要不足を加速させて国民生活を
極限まで圧迫するものであることを多くの国民が正確に理解する必要がある。

そうすれば、増税や保険料の値上げを行う必須の前提は、
デフレの脱却であることが素直に理解されるはずである。

増税の実施時期は期限を決めておくべきような問題ではない。
特に現状の日本経済では、不適切な時期に国民負担を増加させることで、
冗談ではなく国家衰退の引き金を引くことになる。
したがって、
消費税増税について、期限ではなく、条件を付けることは正しい。
「国内総生産(GDP)の名目成長率が持続的に年4%程度を達成したと認められる時点」
といった明確な数値的条件を事前に「景気条項」として設定しておくという主張は、正しい。

このような真っ当な主張を、
バカが唱える異説といった扱いしかしない大手メディアの方が
よっぽどおかしい。

名目成長率4%を持続的に維持できているならば、
2%を上回る実質成長率を実現できるとともに、
日本経済がデフレから脱却し、
GDPデフレーターが1%以上に回復していると想定できる。

このような状況を確認できた上での増税でなければ、財政健全化は不可能である。
ゆえに、大手メディアと一部財政再建論者の論調は、妄言であると断定する。


・GDPデフレーターとは?

GDP(Gross Domestic Product)は、国の経済の力をあらわす指標の1つ。

「日本国内でどれだけ新たなモノやサービスが生み出されたか」ということ。

GDPは市場価格をベースに推計されるため、物価の変動の影響を受ける。
物価変動の影響を排除して推計したGDPが実質GDPで、排除しないものが名目GDP
実質GDPは、経済活動の水準の変化を測る場合に用いられる
(GDPの伸び率が経済成長率)。
税収の伸びを予測する際に主に用いられるのは、名目GDPである。

GDPデフレーター(GDP deflator)は、物価動向を把握するために算出する指標。

GDPデフレーターは、
消費だけでなく、投資なども含めた経済全体の物価動向を示す数字。
物価変動を考慮しない名目GDPと、物価変動を考慮する実質GDPの乖離を表す。

計算式: GDPデフレーター = 名目GDP / 実質GDP×100

GDPデフレーターがプラスであればインフレーション。マイナスであればデフレーション。

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